病院やパニック障害について解説している様々なサイトではよく「パニック障害では死ぬことは無いから大丈夫」と説明されます。果たしてそれは事実でしょうか?
実際にパニック障害で3回失神(気絶、卒倒とも)した経験のある筆者が、本当にパニック障害で死ぬことは無いのか実体験を交えながら解説します。
実際の経験は?
筆者はパニック発作は数え切れないほど経験していますが、それが原因で倒れたのは計3回です。初めて倒れたのは高校生の頃、美容室に居た時に気持ちが悪くなってそれを美容師に伝えて、休める場所に移動しようと立ち上がって歩き出した直後に意識を失いました。たぶん発作から倒れるまでは5分くらいだったと思います。結構前の出来事なので回復までの経緯は覚えていませんが、美容室に居る間のしばらくは具合が悪かったことは記憶しています。身長180cmのガタイの良い男が突然倒れたのだから、美容師さんはさぞビックリしたことでしょう(笑)
2度目は数年後、居酒屋で彼女と一緒に酒を飲んでいた時で、1杯目を半分も飲まない時に彼女と反対側に倒れました。座っていた時にそのまま倒れましたが、店員さんが起こしてくれたそう。この時は酒のせいかパニック発作が続くような感じではなく、酒との相乗効果でフラっと意識を失った感じです。倒れるまでは3分くらい。例のごとくしばらく気持ち悪かったです。
3度目は知人と食事をしていた時で「ヤバい」と思って、トイレに避難したところ入ってすぐに意識を失いました。これは数年前なので割と記憶しているのですが、ヤバいと思ってから失神するまでは1分くらいでした。この時は本当に早く、パニック発作を味わっている暇も無かったです(笑)意識の復帰までは数十秒だったと思いますが、その後も20分くらいは意識がもうろうとしたり症状が続いていました。
ちなみに筆者がパニック障害に初めてなったのは14歳頃で、顔が青白くなったりして気分が悪くなり、パニック障害の症状が出て保健室に行きました。当時はパニック障害は一般的では無かったので、病気を知ってその時の症状がその通りだったので、その頃が発病だったと思います。
直接的に死ぬことは無いと思うが・・・
前章を踏まえた上で、「パニック障害で死ぬことは無い」はある意味正しいでしょう。ただそれは”直接的に”と付け加える必要があります。筆者が3度目に倒れた際はトイレの扉にぶつかる形でした。立っている状態から防御態勢も取れずにそのまま倒れることの危険性は高いと思いますし、ドアノブに正面から倒れて目に直撃したら大事故です。
そして、もし横断歩道で待っている時で前に倒れたら死ぬ確率が高いことは容易に想像出来ると思います。入浴中に失神すれば溺死することも想像に難くないでしょう。倒れた先に鋭利な金属があれば致命傷になります。そう、パニック障害で直接的に死ぬことは無くても、間接的に死ぬことは十分あり得るのです。
筆者は最短で1分程度で失神したことがあるので、その1分で安全な場所まで退避することは簡単では無いですし、何よりパニック発作が起きても毎回失神するわけでも無いので「落ち着いていれば治まる」なんて考えているうちに意識を失っているわけです。実際に筆者は一人になれる場所に退避して直後に倒れています。
なお、筆者は幾つかの病院で検査をし、健康体であることは確認しています。また、筆者が失神した時の症状は過呼吸ではありません。倒れた時に周囲に居た人が、見た目に出る異常について指摘したことが一度も無いことから客観的にも明らかです。この点については「パニック障害で失神することは無いってホント?」の記事で触れます。
最後に
当記事を書いた目的は不安をあおることではありません。「パニック障害で死ぬことは無いから大丈夫!」とか実情に沿わない安心を持たせることに違和感があったからです。安易に楽観視せず、常に最善と最悪を想定しておく、これは人間が持つ能力の一つでは?と思います。
既述のようにパニック障害で意識を失い、それが原因で死ぬことは十分にあり得るのです。ですので、パニック障害になった時には安全な場所を確保する、可能なら横になるのが最善かと思います。既に倒れていれば倒れようが無いですから。
本音を言うと、筆者は14歳頃にはパニック障害になっていますし、うつ病や強迫性障害について言えばそれより前に発症し、日常的に具合の悪い状態が続いています。要は具合悪い状態が普通なんです。だからパニック障害の症状でも、それ自体は言うなればいつも通り。ですが、実際に3回失神しているので、発作が完全に落ち着くまではうかつに動けないのです。
パニック障害の失神が厄介なところは、どこで起こるか分からないこと、そして毎回意識を失うわけでもないところです。パニック障害をお持ちの方なら、発作がどこで起こるかある程度は予測出来ますが、今まで大丈夫だった場所で突然発作が起きることはよくご存知かと思います。ですので「パニック障害で死ぬことは無いから大丈夫!」という言葉を鵜呑みにせず、何が起きても対処出来るように対策を取っておくこと、それが結果的に安心材料となりパニック発作を防ぐことに繋がると思います。