潔癖症と言えば極度のキレイ好き、というのは一般的な認識だと思います。強迫性障害の一種で”不潔恐怖”とも云われていますが、何かと誤解も多いようです。
症状は人それぞれ!
少し前に潔癖症を自認しているタレントの坂上忍さんについて、行きつけの飲食店での行動を店員がインタビューに答えていました。それに依れば「潔癖症とやたら言っているけど、灰皿の横にたばこの灰が落ちても気にすることなく居たので、売れる為の嘘なんじゃないか」と言っていました。これを見て全然理解していないな~と思いました。
潔癖症といっても、今までの生き方などで対象となるものは大きく異なります。前述の例で言えば一日に何度も洗濯をしている坂上さんでも、灰は気にならない、というだけのことです。
筆者に関して言えば、強迫性障害ですが世間一般でよく云われる他人の作ったものは食べられない、鍋は無理、などそういったことは気になりません。もちろん不衛生過ぎる場合は別ですが。要するに、潔癖症だからと言って全ての汚いことが嫌いなわけでは無く、程度や対象に個人差がかなりあるのです。
ちなみに極端なことを言えば、日本人は世界的に見てもかなりの潔癖症です。日本人ほど衛生状態を気にする民族も居ないでしょう。それを知っている人なら潔癖症は”程度問題”と考え、”異常”とは思わないでしょう。多くの人は何日もお風呂に入っていないような人には近づきたがらないと思います。でも強迫性障害患者であっても、それが全く気にならない人も居ます。実際に筆者は好きな人なら何日だろうが瑣末な問題にしか感じません。つまり自分は正常、潔癖症は異常、という差別意識が誤解を招く原因となっているのです。
強迫性障害を自覚しましょう!
よくテレビで潔癖症を自認する人がいますが、強迫性障害であることを知らない人が多いと感じます。元プロ野球選手の石井一久さんの日常に密着した番組で、彼はペットボトルのキャップを何度も閉めたり、ストックを大量に持っていたりと、強迫性障害患者なら間違いなく「彼は強迫性障害である」と思うようなことでも、ただ”普通じゃない”として捉えられているだけで病気であると誰も指摘しないのです。症状がひどくなると日常生活に支障を来たしますが、そこまで行かない人、つまり潜在的な強迫性障害患者はかなり居ると思います。全くこだわりが無い人も居ないでしょう。最初は少しのこだわりであったものが、自然に大きくなり多くのことが気になり始めるのがこの病気の恐ろしいところだと思います。
結局は自分では制御が難しくなるので、治す”意志”が必要となります。つまり”自覚”することでしか病気を治せないのです。早い段階で気付ければそれだけ治療が楽になるので、もしかしたら?という兆候があれば早めに治療方法を考えるべきです。
強迫性障害のチェックリストというものもありますが、筆者の体験としては何か一つのことが気になって脳内が占領され、他のことに集中出来ない、ということが増えると病気の兆候かな、と思います。そんなの日常的によくあることだって?そう、この病気は誰だって成り得るのです。悪化するかどうかは単に”たがが外れる”かどうかの違いだけでしょう。
この病気は症状を自覚し、理解するところから始まります。自分自身をふかん出来なければ治りません。早期発見、早期治療が大切なのです。がん治療の宣伝みたいですが。